ビオトープ

Biotope

1980年から90年代のいわゆる普通の郊外ベッドタウンで幼少期を過ごした子どもの頃、家の周りにはギリギリ小さな自然が残っていました。

未舗装の道の端には水路があり、オタマジャクシやカエルやヤゴが。足を延ばせばため池や湿地もあり、学校が終わっては毎日の様に遊んでいました。ビオトープという言葉を聞いて水場を思い浮かべる方が多いと思いますが、もともとビオトープとは生き物の住む場所という意味で、水場に限った訳ではありません。ただ池とも言えない少しの水たまりがあるだけで、生物の数は倍増し、微気象も含め様々な環境が創られます。子どもたちが水場好きなのはきっと本能でその事を感じ取っているのだと思います。

小さな住宅街の庭にもそれは適応します。

穴を掘り、防水シートや粘土で遮水し、それを上手く隠すように石組をすれば出来上がり。それだけで小鳥が集まり、メダカが育ち、トンボが卵を産み、一つの小さな生態系の出来上がりです。

庭の中に水があるだけで景色が動き出します。雑木を主体とした自然や里山をお手本にしたお庭と合わせれば春は花が咲き、夏は日差しを葉が防ぎ、秋には紅葉が楽しめ、冬には葉が落ち、暖かな日が差し込む。たくさんの種類の植物が各々の快適な居場所で、葉を伸ばし、生き物が集まる場所。里山などは、杉や檜の森とは違い、単一の植物ではなく、様々な種類の植物で溢れています。そのそれぞれが、己のニッチを見つけ出し、生き生きと葉を広げ、花を咲かしています。

何故、自然の山や里が美しいのか?

それは植物自身が己の生育環境に合う場所を探し出し、健康に元気に葉を広げているからです。小さなお庭でも、お庭の中には様々な環境が混在しています。日向、日陰、風通りの有無、土中の湿度。例え北側の日が差し込まない所でも、上手に植物を配置すれば、季節感のある、一つの生態系が生まれます。

日々のお手入れは少し必要ですが、自然を身近に感じたい方には楽しくて仕方がないものになると思います。植助では造っておしまいではなく、その後の管理にも責任を持ち設計、作庭致します。すこしでもビオトープという言葉に興味がある方はご連絡お待ちしております。